内輪ノリにしない
スポーツ観戦にせよ、ライブにせよ、エンターテインメントにハマるプロセスは2つあります。
1つ目がエレベーター型。
初参加の段階から面白さを見出し、一気にハマるタイプ。個々人の性格とそのエンターテインメントコンテンツの相性というコントロール不能な要素がありますが、これが一番理想的です。
2つ目がエスカレーター型。
面白いと感じていなくても何度も足を運ぶことで、そのコンテンツの面白さに気づきハマるパターン。恋人がサッカーが好きで観戦に付き添っていたら、ルールや見方が分かり面白くなるといった例。
インセンティブ設計次第ではハマるまで足を運んでくれる可能性もありますが、とは言えインセンティブをもらっても行きたくないと思われてしまっては、インセンティブもくそもありませんので、結局のところ初めの一回でどの程度魅力的に感じてもらえるかが最重要になります。
(そういう意味では恋人を巻き込んでもらえる導線設計が非常に重要かもしれませんねw)
この初参加で感じる楽しみには①コンテンツ自体の楽しさ➁その場の雰囲気という2つに大別できると思いますが、特に後者についてはまだまだやれることがあると考えています。
そのポイントは「内輪ノリにしない」。要は初参加の人が何も知らなくても楽しめる環境を作るということ、これに尽きます。
例えばサッカー観戦。
サッカー観戦の醍醐味の多くの部分を占めるのが得点と得点した時のスタジアムの揺れるような盛り上がりという顧客体験にあるのは間違いないでしょう。しかしサッカーにおいて得点は1試合で2点も取れれば十分というスポーツで 0点のままという状況も少なくありません(枠内シュートですら片手以下、という試合もあります)。
そのような状況の中で新規参加者に良質な顧客体験を提供するとすれば、応援(=チャント)が重要になるわけですが、多くのチームではチャントは固定的なサポーターのものではあり、新規参加者が付いていけるものではありません。
この状況は新規参加者に対してアウェー感を感じさせるもので、好ましいものではありません。実際に、私自身がスタジアムに行った時に感じたのはアウェー感でした。
「素人の自分でもここにいて良いんだ」と思わせなければならないのですが、これでは逆効果です。
昔、柏レイソルのサポーターが自主的にチャントの歌詞カードを席に配布し、試合前に練習するというのがありましたが、そういった取り組みは非常に有用なのではないでしょうか。
以前にも顧客に努力をさせてはいけないという主旨の記事に触れましたが、いかに新規参加者がその場で楽しめる空気感・仕掛けを作るかというのは極めて重要な視点だと改めて感じた次第です。
(そしてこれは会社という組織作りにおいても重要な視点なのではないでしょうか)
maple-sunflower.hatenablog.com