ライブでダイナミックプライシング?
こんなニュースが。
ダイナミックプライシングはホテルや旅館などで既に導入されている"需給に合わせた価格設定をする"プライシング手法で、音楽業界では既にU2やテイラースウィフトをはじめ海外アーティストでも事例が出てきていますが、果たしてライブイベントにおいて定着するのでしょうか。アーティスト側、オーディエンス側両面から見てみましょう。
オーディエンス側にメリットはない
多くのライブがいわゆる"即完"である現状では、ダイナミックプライシングが導入されるとほぼ確実に値上がり方向になるでしょう。これは多くのオーディエンスにとってはデメリットになります。(即完でないライブなら安くなるのでメリットですが)
既に一部のアーティストが取り入れているID必須の抽選の方が多くの人にとって平等な仕掛けです。そもそもこの導入の背景には転売の防止というのがあるようですが、転売防止策ならIDマストにすれば良いだけでダイナミックプライシングが最適解ではないように思います。
アーティスト側にとって「値上げ」はメリット、一方で…
"即完"ということは需要が供給を大幅に上回っているわけで、機会ロスとも言えます。ダイナミックプライシングはこの機会ロスを防ぐという意味合いではメリットもあるでしょう。
ただしアーティストにとって、その機会ロスがどの程度重要か?という点は考慮する必要があります。駆け出しのバンドは別として、アーティストの多くは稼ぎたいという気持ちと同様に多くのファンに届けたいという思想も持っています。
だからこそ、即完にも関わらず値上げをしないのです(20年前と比べたら上がってますが…)。
高い価格設定をすることはすなわち「その価格を払えないファンはファンと扱わない」こととニアリーイコールです。
これはアーティストのブランディングという観点ではデメリットになるでしょうし、中学生や高校生などにも来て欲しいと願うアーティストにとって積極的に取り入れたいものではないでしょう。
よって私はライブにおいてダイナミックプライシングは定着しないと見ています。
カーシェアやタクシーの方がハマると思ってるんですけどね。今後もダイナミックプライシングは色々な企業が動いてくるとは思うので注目はしておこうと思います。
(まぁデータでどうこうって話でも本当は無いんですけどね。その話はまた今度。)