客に努力をさせてはいけない
今回のNew Acoustic Campは久々に参加したフェスであったこともあり知らないアーティストがたくさんいたため、逆にライブを盛り上げることの巧稚を感じることが出来ました。
もちろん国民誰もが知るような曲を持つアーティストであれば、セットリストの前半にそういう曲を持ってくるだけで確実にその後の客の盛り上がり方が変わります。
ただ多くのアーティストはそういう曲を持っていないわけです。そんな中でも知らない人まで巻き込んで盛り上げちゃうアーティストがおり、下記のいずれかのパターンに当てはまるように感じます。
①音楽自体のレベルが高い
演奏がめちゃくちゃ上手い、歌が素晴らしい、引き込むような熱量といったアーティストの音楽性でアゲちゃうパターン。極めてレアですね。
②アーティスト自体が客を盛り上げる
自身の曲でどう盛り上がって欲しいかを伝え、具体的なコールアンドレスポンスのやり方を練習させるというものです。もちろん客にいきなりやれと言ってもやらないケースも少なくありませんが、基本的に客は盛り上がりたい、楽しみたいと思ってきている人がほとんどなので、そういう人達に楽しみ方を伝える、いわゆるチュートリアルは非常に大切だと思います。
ライブは初参加時につまらないと認識されたら次はありません。どれだけ初見で楽しませるかが重要なのです。フェスで言えば自身を目的にしているわけではない人、極論何も知らない人でもその場で楽しませられるかどうかがアーティストのファン獲得という意味では重要になります。
これを突き詰めていたバンドの1つが90年代に活躍していたスカパンクバンド、POTSHOTです。初めて聞く人達もその場で付いてこれるようにほとんどの曲のサビを「wow」と「yeah」だけで構成しています。なので、大体1番を聴くと2番のサビはついていけるわけです。
歌詞をそれなりに聴かせる必要のあるPOPやHIPHOPではこうは行きませんが、スカパンクというジャンルにおいては1つの最適解だと思いますし、ある意味非常に顧客目線に立っていたバンドだと思います。CDを聴いて曲を覚えるという顧客に強いられる見えない努力を無くそうとしたわけですから。
「顧客に努力を強いらない」というのは顧客満足度において非常に重要な要素です。アーティストのみならずビジネスにおいても強く意識すべきではないでしょうか。