階級社会と戦略論
欧米では戦略コンサルティングが割と一般的でありながら、日本においては限られた会社しか使っていないというのはよく言う話です。
背景として色々な原因が挙げられていますが、1つの原因として階級社会であること(あるいはあったこと)があるのではというのが個人的な考えです。
そもそも欧米では労働者階級は決められたことを決められたようにやるものであり、またその教育的な背景からホワイトカラーと比べると基礎学力にも大きな隔たりがあったため、何か新しい改善策が思い浮かぶということさえ期待されていなかった節があります。そもそも言われたこと以外やる人種ではないと。
そのため企業活動において属人的なオペレーションを差別化要素に置くのではなく、必然戦略が最重要の差別化要素でした。
翻って日本。遥か昔から現場主義であり、教育水準も高かったため、トヨタのカイゼンに代表されるように戦略というよりも現場オペレーションを差別化要素としている会社が非常に多かった。
トヨタはこれを仕組み化していますが、未だ属人的な部分に頼っている会社も少なくないのではないでしょうか。
つまり戦略自体が最重要アジェンダではなく、むしろモチベーションやチーミングのような情緒的な話が重要視されていた。
そんな所もあるのではないかと考えているのですが、様々な企業と議論をする中で、日本も階級社会に近づきつつあり、戦略の重要性が実はどんどん増してきているのではないかと感じています。
今日もとある大企業の人と話をしていたのですが、最近の若い子、特に子会社のプロパー社員の考えていることがさっぱり分からないと憂いていました。
- 目標とインセンティブ(短期的なもののみならず中長期的なポスト含め)を与えても動かない
- 不満は言うが自分で改善しようとはしない
- 会社に対するロイヤリティが低い
- 気に入らない同僚を排除しようとする etc
要は現場の最前線が欧米の労働者階級に近しくなってきているという話で、これの遠因には若年層においてすら進む所得格差の問題があるのではと思うわけです。
これからの時代、現場オペレーションにはあまり期待出来ず、必然戦略や仕組み論の重要性が増してくるのではないでしょうか。
以前戦略重心が後ろに下がっていることについて触れた記事はこちら
maple-sunflower.hatenablog.com