見えない前提を見る
コンサルという仕事をやる上で「根本的な課題を特定する」というスキルは極めて重要です。
企業を取り巻く課題は基本的に独立して存在しているわけではなく、課題を生み出す要因が複数あるケースの方が多いように思います。
例えば、営業部隊の売上が下がってきた際に「営業スキルが低下しているのでスーパーバイジングを徹底します、研修します」みたいな場面がクライアント内でもよくありますが、これではなんの解決にもならない場合も少なくありません。
これは根本的な課題に手を入れていないからです。表層的な課題を潰そうとしても基本的にはモグラ叩きになるだけです。
この根本的な課題を追及するにはロジカルに考えることが有効で個人的には現状問題構造ツリーを好んで使っています。
ここで現状問題構造ツリーとは、とある結果について課題を因果関係でつなぎツリーを作っていく作業です。これにより見えなかった前提や論点を明らかに出来ます。
原因→結果が常に正しいか
シンプルに言えばこれだけの話なのですが、上記の例で言えば営業力の低下が必ず売上の低下をもたらすか?ということです。
当然ですが必ずしも低下しません。市場が成長していたり、競合が減れば売上は伸びるのが一般的です。
そのため厳密に言えば、営業力低下は必ず売上低下をもたらすというロジックには見えない前提(市場・競合環境が安定している)があるわけです。
また仮に市場、競合が変わらないとしても必ずしもスキル低下だけが要因ではありません。
色々な要因がand/or条件で隠れているわけです。
一見すると最もらしいロジックほど、この見えない前提に支配されているケースが多く注意が必要です。
それは本当に根本的な原因か?
営業力の低下に対して打ち手が教育になるということは逆に言えば「教育が出来ていない」という現状を表しているとも言えますが、ここも因果で結ぶべきです。
組織としての営業力の構成要素は研修で補完可能なスキルだけではありません。モチベーションや顧客との相性、高スキル人材の成績不振(多くの場合研修では解決不可)など他にも様々な要素があります。
もっと言えば、そもそも教育が出来ていなかったというのは今に始まったわけではないわけです。
本当にそれが根本的な要因なのか?というのはトコトン突き詰める必要があります。