カーシェアリングの普及要因
カーシェアリングが盛り上がっています。
その要因として①マイカー市場をコスト競争力を武器に奪った②レンタカー市場を利便性を武器に奪ったといった理由を挙げる方もいますが、個人的な印象としてはそれは本質ではなく、新たなマーケットを創り出したという言い方が正しいと考えています。
マイカー市場を奪った?:✖
これに関して言えば、個人においてはほぼ無いと言って良いでしょう。マイカー所有者がマイカーを手放してカーシェアにスイッチするケースは極めてレアだと思います。
保有よりもコストが安いのは確かにそうなんですが、カーシェアのコアユーザーは「買うほどではないけど使えるなら使いたい」という層ではないでしょうか(利用時間が安・近・短であることからも容易に想像つきます)。
むしろ車の利便性を感じた上で、ピークタイムに借りれないというカーシェアの弱みを不満に思った人が自動車を購入する、すなわちマイカーユーザーを増やす可能性すらあると思っています。
法人はあり得ますが、法人がカーシェアを使うパターンも社用車からのスイッチというより電車や自転車、タクシーを使っていたユーザーがカーシェアを利用しているという見立てが正しいように思います。
レンタカー市場を奪った?:✖
確かに逐一手続きをする必要のあるレンタカーより便利ですが、そもそもレンタカーは基本的にハレの日需要です。加えて長時間使う場合にはレンタカーの方が安いケースも多く、レンタカー市場を奪ったという見方は正しくないと思います。
事実、下記リンク先のデータに基づけばその多くが短時間利用です。個人的な使用実感としても土日カーシェアの空車がないパターンが多いですが、朝と夜は空いていることも多く、数時間の利用が多いというエビデンスは違和感ありません。
よってカーシェアはあくまで新市場を創り出したという見方が正しいと思います。
(上記リンク先にもいろいろ書いてありますが)
その要因は
①初期に採算度外視でどこにも負けないスピードでステーションを作ったこと
そもそもカーシェア登場の際にいかにドミナントでステーションを作れるかが肝、と言われていましたが、それを出来るプレイヤー(タイムズ)が既におり、この領域にチャンスを見出し赤字覚悟で資金を投下したことが非常に大きかったと言えます。なおタイムズ社はカーシェア領域が黒字化するまで4年かかった(5年目で黒字化)ようです。
②プライシング
15分216円(現在220円)というプライシングが非常に良かったと思っています。おそらくタクシーをベンチマークしたんでしょうが、往復1時間で済む用事であれば税抜き800円で済むわけで、タクシー初乗りで往復するよりも安くなります。
の2点がおそらく全てでしょう(それ以外の要素も沢山ありますが、本質的にはこの2点とこれを覚悟してやり切った当時の経営陣)。
当初は駐車場貸しの方が儲かるのが当たり前だったわけですが、未来を見据えながら英断をされ、新たな市場を切り拓いた当時の経営陣の皆様方には敬意を表したいと思います。
なお、先日の料金改定でタイムズはいよいよレンタカーの牙城も崩しに行っています。1ユーザーとしても今後の更なるサービスの磨き込みを期待しています。
(早く自動運転が普及して乗り捨て可能な世界を作って欲しいです)
2019年10月1日料金改定について | カーシェアリングのタイムズカーシェア