会社はミドルから腐る
経営競争基盤の冨山和彦氏の言葉で「会社は頭から腐る」という非常に有名な言葉があります。
実際、頭即ちトップマネジメントのレベルが低いと企業全体がうまくいかないというのは明らかではありますが、個人的な体感値としては「会社はミドルから腐る」というのが一番多い気がしています。
外部からトップを招聘するのが珍しい日本において、トップはミドルから選出されるのが一般的です。そのトップが腐るというのはミドルが腐った結果と言えるのではないでしょうか。
創業社長が経営している会社の場合には、腐ったミドルを見極められない/放置しているという意味でトップの責任とも言えますが、人を見極めるというのは口で言うよりもはるかに難しいですし、創業メンバーなど社歴の長いメンバーだったりした場合、情が湧いてしまったり、ある面では大きな影響力を持っていることがあるなど、一筋縄にはいかないケースがほとんどだと思います。
そのため創業オーナー系の会社にせよ、そうでないにせよ、対策としては根本的には「ミドルを腐らせない」仕掛けが必要だと思います。
個人的には下記3点がポイントだと考えています。
①権限を委譲する
そもそもトップの仕事は意思決定であり、ミドルがトップの見習い期間だとすればいかにミドルの時代に沢山の意思決定を行うかがトップの質に直結すると思います。
しかし多くの会社では権限委譲が十分に行われておらず、なかなかミドルが育ちづらい環境になってしまっています。
②信賞必罰・昇降格の徹底(ポジションの流動性を高める)
流れない水が淀んでしまうのと同様、硬直化した組織はどんどん腐っていきます。そのためには信賞必罰・昇降格を徹底する必要があります。
ピーターの法則と言われますが、そもそも会社組織では、最終的に「そのポジションにおいては無能」となるまで出世する構造になっています。
(課長として有能な人材が部長に、部長として有能な人材が社長になりますが、部長として無能だった人材はそのまま部長に留まってしまう)
そのため権限委譲と合わせて信賞必罰・昇降格が出来る仕組みにしなければなりません。
③小さな失敗はプラスと捉え再チャレンジを可能とする
②が強すぎると①を満たしていても、失敗を避ける傾向が強くなります。しかし成功に失敗は付き物です。
会社が傾くような失敗はさせるべきではないですが(それはトップがリスクマネジメントすべき)、小さな失敗はどんどんさせるべきです。
すごく優秀なミドルが燻っていたり中枢から外されてしまったりするケースが少なくないですが、もっともっとミドルを輝かせる会社が増えて欲しいものです。