自己実現の半径
自己実現理論というものがあります。マズローの欲求5段階説という言い方が一般的ですね。
人間は5段階の欲求を持ち、常に高次の欲求に向かって成長するという説(あくまで仮説で科学的根拠はない)でマーケティングにおいても活用されることがしばしばあります。
低次のものから順に概略を記載すると、
1.生理的欲求
生命を維持するための基本的な欲求で、食欲・睡眠欲・性欲・排泄欲などを指します。単純に「生きたい(死にたくない)」という欲求です。生存欲求と言う人もいます。
2.安全欲求
安心・安全を求める欲求。物理的/経済的な安全性を求めたりリスクを抑えようとする「身の安全を守りたい」という欲求ですね。
3.社会的欲求
友人や家族、会社など何がしかの集団への帰属欲求。「人と関わりたい」という欲求です。
4.承認欲求
「自分の価値を認めて欲しい」という欲求。自信が社会的な関わりを持って初めて出てくる欲求ですね。厳密に言えば他者からの承認と自身の承認の二層あるとされています。
5.自己実現欲求
自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、自分の理想を具現化したいという欲求。
となっており、基本的には低次の欲求が満たされることでより高次の欲求に移っていくと言われています。
(低次の欲求が満たされていなければ高次の欲求が出てこないというわけでは必ずしもありません)
この仮説、個人的にはすごく納得感がありますが、最近では承認欲求が生理的欲求に勝る、とかそもそもこの下にwifiとバッテリーがある(笑)とか異論もチラホラ聞きます。
個人的には日本は明らかに5の自己実現欲求段階にいると思っていますが、特に若年層においては従来型の価値観と明確に異なっており、これが異論を呼んでいるのだろうと思います。
従来型の自己実現は承認される半径を広げることとほぼ同義だったように思います。(例えば世界を変えるとか歴史に名を残すとかめちゃくちゃ良い生活したいとか)
そのための最短距離が仕事を頑張ることであり、金や名誉を集めることであったわけです。
が、現代的な自己実現とは半径を広げるのではなく、半径5mの範囲での身の丈にあった「ありたい自分である」ということに変わっているように思います。
そのため必要以上のお金を求めて仕事に打ち込むようなことはせず、自分のやりたいことをやる。
夢がないなどと揶揄されることもありますが、本当の意味で自己実現をしようとしているのは、実は若者なのかも知れません。