D2CとSPA
D2C(Direct to Consumer)が盛り上がっています。
まだ定義が固まりきっていないようにも思えますが、
⚫︎ デジタルオリエンテッドであること
⚫︎ 企画から販売まで自社で一括で行うこと
の2点を同時に満たすものと説明される事が多いように思います。
そしてD2Cの強みとして
⚫︎ 店舗や卸先など中間流通を飛ばすためコスト優位性がある
⚫︎ 顧客の声(データ)を商品に反映出来る
⚫︎ ブランドの世界観を伝えやすい
といった点が挙げられることが多いと思います。
が、全然本質を突いていないと思います。上記に挙げられている要素のほとんどはSPAでも保有しているものです。
ではD2CとSPAでは何が違うのでしょうか。大きくは3つだと考えています。
⚫︎ 店舗を販売拠点と見ていないこと
店舗ビジネスに起源を持つSPAでは店舗の収益を気にしてしまうので、必然店舗は店舗の売上を、オンラインはオンラインの売上を追ってしまいます。しかしD2Cプレイヤーは店舗を販売拠点ではなく、顧客接点としてしか捉えていません。これが従来型のプレイヤーには出来そうで出来ない最大の特徴の1つ。
⚫︎ プロダクトアウトであること
D2Cプレイヤーの多くが小規模かつ立ち上げたばかりのプレイヤーであるため、当たり前と言えば当たり前ですが、極めてプロダクトアウト的なアプローチが多いです。またプロダクトアウト(要は尖ったコンテンツ)はSNSと相性が良い、というところもプラスに作用しているように思います。
⚫︎ カテゴリー/アイテム数を絞っていること
SPAは実店舗中心のため、集客・店づくりの観点から一定のアイテム数は必要になりますが、D2Cの場合には本当に強い商品/カテゴリーに絞って展開しています。これもSNS中心としたマーケティング/プロモーションにおいてはプラスに働きます。
というわけでSPAをマス向けマーケットイン型とするならD2Cはニッチ向けプロダクトアウト型と言え、本質的に違うことをやっていると思いますが、上記を念頭に置くとD2Cで非常に大きな企業が生まれるイメージはなかなか難しいです。(こじはるの「Her lip to」のように著名人やインフルエンサーが立ち上げる流れは増えるでしょうが)
とは言え、今後起こるであろう小売の大きな変化の一番初めの波だと考えているので今後も注目していきたいと思います。