TOPとBOP②値決めが重要
昨日の続きです。主要なブランドコングロマリットの営業利益率を見てみます。
LVMH21.1%、リシュモン16.7%、ケリング27.2%。
すごくないですか?リシュモンは時計がメインのため営業利益率が若干低く出ていますが、それでも十分高いです。いくつかのアパレル企業と比較してみましょう。
ファーストリテイリング 13.5%
H&M 7.3%
しまむら 6.2%
ワールド 5.4%
三陽商会 ▲3.7%
バロックジャパンリミテッド6.7%
アダストリア 3.2%
ユナイテッドアローズ 7.0%
(いずれも直近通期)
インディテックスとファーストリテイリングも相当すごいと思いますが、それでもLVMHやケリングには見劣りします。
その他の会社は軒並み1桁台。もちろん日本中心かグローバルかで見方はちょっと変えなければなりませんが、いかにブランドコングロマリットが儲かるかというのは分かるかと思います。
ご想像の通りではありますが、ブランドとは空気のようなものであり、物質的な価値ではないため、コストは0なわけです(もちろん広告宣伝費や歴史的な積み重ねが必要ですが、表面上の原価は0)。
また、これもよく言う話ではありますが、実際に必ずしも最高級の素材・縫製というわけでもありませんし、原価率が高いというわけではありません(一般論ですが、高価格品ほど原価率は低い)。
ちなみにLVMHは原価率34%、ケリング25%に対しファストリ51%、ワールド42%。やはり原価率が圧倒的に低くなっています。この原価率の低さが銀座などの路面店にドアマンを立たせることを可能にしているわけです。
ちなみにこの高価格帯ほど儲かるというのは他の業界でも概ねそうで(当たり前ですがそうじゃない業界もあります)、例えば自動車で言えばフェラーリ23%、ポルシェ17.4%。対してトヨタや日産は一桁です。
稲盛氏の名言に「値決めは経営」という言葉がありますが、まさにその通りで、値決めは企業の使えるコストとそれに基づく打ち手の幅を定義するものであり、最も重要なものです。
明日に続きます。