デジタルの負の側面
デジタルの発展がビジネスに大きな影響を与えたことは改めて述べるまでもありません。様々な領域において利便性の向上・新たな付加価値の提供がなされ、特に個人に大きな力をもたらしました。
か、副作用とも言うべきマイナスの影響も非常に大きいと考えています。その最たるものがエコーチェンバー現象と呼ばれるものです。
エコーチェンバー現象とは
エコーチェンバー現象とは同じような思想を持つコミュニティ内で意見交換をすることで、まるで自分の意見がエコーのように反復され、その思想・意見が補強されてしまうという現象です。
特段新しい概念ではなく、いわゆるテロ集団や宗教団体、ある種のブラック企業などでも見られる現象なわけですが、この現象はSNSとデジタルマーケティングの発展によってより顕著になってきています。
一番顕著なものはTwitterですね。
見知らぬ人をフォロー/フォローされるという関係性でコミュニティが広がっていくわけですが、基本的にフォロー/フォローされる人、あるいはRTやいいねをする/もらうのは
①何がしか自分にメリットのある情報を提供してくれる人
➁共感・憧れを持つ人
のいずれが多いのではないでしょうか。自分の気分を害する(自分の思想と異なる)ようなツイートをする人をフォローする人は変わり者だけです。
結果として自分に近い思想を持つコミュニティが形成され、自分と異なる思想は目に留まりづらくなります。
アラブの春はまだ記憶に新しいですが、TwitterやFacebookが思想を増幅させ、社会を分断していく力を持っているのは明らかではないでしょうか。
偏った情報収集を加速するデジタルマーケティング
紙の媒体と異なり、閲覧履歴やデモグラデータなど様々なデータから個々人の興味関心に合わせたコンテンツを出し分けることが出来ます。また個々人が望まないコンテンツを排除することも出来るようになりました。
そのユーザーに最適化したコンテンツを提供するというのはユーザー視点では一見非常に便利ではありますが、これも極めて危険だとも言えます。というのもコンテンツの受け手であるユーザーはその偏りに気付いていないケースが多いからです。
負の側面も理解した上で最大限うまく活用するべき
デジタルマーケティングとSNSはこのような負の側面も保有しており、この負の効果による社会の"分断"は今後さらに進んでいくと考えています。
一方で強いファンをコミュニティ化出来れば非常に強いわけですし、ファンのコミュニティ化がしやすくなったのもデジタルの発展のおかげです。
いちユーザーとしてはこの負の側面に留意し偏りを出来るだけ是正しつつ、ビジネス面ではこのエコーチェンバー現象をどう起こすかを常に頭の片隅に置いておきたいものです。