こんさる雑記帳

コンサルタントとして日々の仕事の中で考えたこと、二児の父として毎日の生活の中で思うことなんかを雑にまとめていこうと思います。

形態か機能か、組織か戦略か

アメリカの著名建築家ルイス・サリヴァンの言葉に「Form follows function」というものがあります。

 

「形態は機能に従う」というもので、機能が満たされれば建築における美も満たされるという考え方です。

 

建築界隈では賛否あるらしいですが、無意味な装飾には価値を感じず、全てに意味を持たせているということにセクシーさすら感じる私には非常に魅力的な考え方です。

 

そもそも形態(即ちデザイン)が機能より優先されるとしたら、それはデザインではなくアートになってしまいます。

(もちろん機能だけを追求すれば必ずデザインとして完成するかというとそうも言えない部分もあり、実際には両者の間でバランスを取る形になることが多いですが)

 

さて、なぜこのような話を書いたかと言うと、実はデザインと経営は通ずる部分が少なくないと考えるからです。

 

経営の世界にも先のサリヴァンの言葉に似たものがあります。アルフレッド・チャンドラーの「組織は戦略に従う」というものです。

 

当然ながらこれも賛否がありますが、戦略目標を達成するために人事や評価制度も含めた最適な組織設計にするというのは非常に大切だと思います。

(ちなみに逆の主張をしているように見える代表的な人がアンゾフのマトリクスで有名なアンゾフ)

 

実際、組織を変えても業績は上がらないという話も少なくないですが、その多くは戦略に相応しい組織になっていない(あるいはそもそも戦略がなくただ組織を弄っただけ)か、そもそも戦略が誤っていたかのいずれかだと経験上は断言できます。

 

一方で現実的には現在抱えている人的リソースという制約があるため、必ずしも理想的な組織に落とせるわけでもなく、やはりデザインの議論と同様、バランスを取ることになるわけです。

 

なので実際には「組織は戦略に従うが、戦略は組織に制約を受ける」ということになろうかと思います。

 

ただデザインと同様、中途半端な形では中途半端な成果しか生まないのも事実。

 

組織をデザインする経営者の支援をする人間としては制約を取り払う方法を考えながら、あくまで完璧な形を追い求めたいものです。